第3話 ルール
「時にダイヤ」
「何?」
「その秋の精霊さんは、君よりも上役なの?」
「ううん、同僚だよ」
「なら、秋の精霊の許可を取らずに、独断で寒くはできないのか?」
ダイヤは、しばらく考えて・・・
「人間界には駅伝だっけ?があるんだよね」
「ああ」
「あれは、前の人からタスキを渡されないと、自分は走れないよね?」
「ああ」
「そういうことだよ」
なんとなく、わかった。
「で、ダイヤ」
「何?」
「どうして、君は俺の前に現れたんだ?」
「君は、他の人とは違うから」
「違う?」
ダイヤは、俺の顔を覗き込んできた。
さすがに、照れてしまう。
「人間は、勝手だもんね」
「勝手?」
「暑ければ、寒い方がいい。寒ければ、暑い方がいい。
春や秋は、花粉症だからいやだ。文句ばっかりだよね」
否定しない。
「君は、『冬は寒い方がいいのが、普通の考え』と、思ってるけど・・・」
俺の心を、読んでいたのか?
「君は、冬は寒い方がいい、なので、嬉しかった。
だから、現れたの」
よくわからない、理屈だ。
「いい、冬樹」
「何?」
「この地球は、先祖から譲り受けたものではなく、子孫からの預かり物なの。
なので、大事にしなさい」
自然破壊のせいで、地球温暖化になったのは、人間のせいだということだろう。
「俺に言われても・・・」
「そうね、君に行っても仕方ないわね。人間が自覚しないと意味ないもの。
ごめんね」
「いや、いいんだ。ダイヤの言うとおりだ」
確かに否めない。
「で、俺に何の用?」
「冬の間、つまり2月までだっけ?私の恋人になりなさい」
「なんで、俺が?」
「彼女いないでしょ?」
「悪かったな」
俺は、年齢=彼女いない歴だ。
でも、姉と妹がいるので、女性との話にはことかかない。
もっとも、身内のせいもあるが・・・
「なるの?ならないの?」
拒否権はないらしい。
「わかったよ。なりますよ」
「可愛くて魅力的なダイヤさん、お願しますは?」
「可愛くて魅力的なダイヤさん、お願します」
「しょうがない、恋人になってあげるか」
ダイヤは嬉しそうだ。
楽しい冬になることを、期待したい。
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