暦は知らせた
定食亭定吉
1
暦はめくりめくり、二月三日節分を知らせた。毎年、この時期になるとAは豆まきを行う。彼の中で、クリスマスや正月以上に気合いを入れる時である。今年は某サイト販売で升を購入。一人で豆まきをすることに。外出して、豆まきをしていたら、意外にも一人で豆まきをしたいた女性がいた。見るからに暇そうな女性だった。
近所の公園だったのでクレームも出ないだろうと、お互い、話しかけもせずに豆まきを続行。しかし、義務感から何か話しかけないと感じだった。
「毎年、ここで豆まきをやられているのですか?」
話しかけるA 。
「そうですね。独身ですし」
黒髪でお洒落に興味ない感じである。
「まさか、自分以外にも、豆まきしている人がいるとは」
「私もそう思いました」
「では撒きますか?」
「はい」
二人は日頃のストレスを込めて豆まきをする。太陽は沈みかける。通行人の視線を気にせず撒き続ける。
五分ぐらいかけて、升一杯分の豆を撒ききる。
「清々しいですね!」
「はい!」
お互いに達成感を得る。
「良かったら、恵方巻、買いに行きません?」
「いいですね」
不思議と意気投合する二人。近所のスーパーん目指す。すっかり暗くなる空。
「今年も、売れ残りが大量でしょうね?」
「多分、スーパーA なら、そうなのでしょうね?」
数分して、スーパーA到着。
「やっぱりですね!」
予想は当たる。大量に売れ残り、半額セールとなる恵方巻。
「まだ夜七時なのに早いですね!」
「それぐらい、早くしないと売り切れないのかも」
それぞれにスーパーAの事を言い合う。
「何個かチョイスしましょう!」
何がどう違うのかわからないので、適当にチョイスする。
「避けも買いましょう!明日、休みです?」
明日は土曜日。
「そうですね!」
「では飲みましょうか?」
「あぁ、いいですね!」
二、三本、缶チューハイを素早くカゴに入れ、レジへ行く。
「ここは僕が払いますから」
「じゃあ、後で半額、払います」
「いやいや、僕が払います」
「わかりました。ありがとうございます!」
会計を済ませて外へ出る。
「寒いから私の家に来ませんか?」
「えっ?」
外で飲む事を想定していたA。
「平気ですよ!明日、土曜日ですから」
「ああ、では御言葉に甘えて」
「では行きましょうか?」
自然なタイミングで手を繋ぐ二人。
「ねえ、また来年、豆まきしない?」
「どういう事?」
「わかるでしょう?」
「あー」
取り合えず理解したふりをするA。
「子供も一人、仲間に入れて」
「えっ?」
「私、子供いるから」
「なるほど、嘘を付いていたわけね」
「それはそうでしょう!子供を無視して、豆まきするなんて」
「何で初対面の相手に見栄を張るの?」
「いやー、それはタイプだったからよ!」
顔を赤くしたB。
二人の暦には交際スタート日と記されていくのであろう。
暦は知らせた 定食亭定吉 @TeisyokuteiSadakichi
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