廃寺で夜ごと殺し合う男たち。生臭い息を吐き、汗を飛ばし、血を流して戦う戦国の生き残りたちは、果てして何を求めてそこに集うのか?
一人、また一人と敵を屠り、とうとう九十九人を斃した剣客。
その男の前に、立ちはだかる最強にして最後、百人目の敵。
二人の剣客の、激しい戦いを描いた短編なのだが、二人に私怨はない。おのれの存在意義を問うように、命を懸けて斬り合う姿は、古き良きアーケード・ゲームの対戦格闘を思い出してしまう。
戦いに、策はあれども、姑息さはない。
現代を舞台にしてしまったらとても描けない、清々しい殺し合いの記録である。