第15話 年末特番
ここは渋谷のテレビ局。
「みんな! ほんのおねえさんが帰って来たぞ~!」
テレビ番組の収録中であった。
「本を楽しんで読んでいますか~?」
ほんのおねえさんとは、谷子である。もっと説明すると、16才の前髪をおろした怪獣ちゃんの谷子ではなく、9才のカワイイ谷子の素顔のままで登場している。「さあ! 今日はどんな本を読もうかな?」
本を探す谷子。
「よし! 決めた! この本にしよう!」
読む本を決めて手に持つ谷子。ほんのおねえさんは、あくまでも子供向け教育番組なので、子供に問いかけ風のミュージカルのように大袈裟なオープニングトークである。
「本のタイトルは、最強の歯科助手みなみちゃん! さあ、物語の始まりですよ~。」
こうして谷子こと、ほんのおねえさん朗読が始まる。
ここは渋谷の歯科医院。
「みなみちゃん! 大変だ! 患者が来た!? どうしよう!?」
歯科医師の美代先生が患者さんが来たと騒いでいます。
「先生。ここはあなたの美代歯科医院なんですか、ちゃんと仕事してください。」
カワイイ女の子が歯科医院では働いていた。この子が歯科助手のみなみちゃんである。
「キュル。」
そして、なぜかペットにパンダを飼っている。これで魔法少女の家族にパンダは使えない。なぜだろう? 魔法使いよりも、魔法少女の方がウケがいい。時代の変化か? 時の流れか?
「ダメだよ!? 私はカップラーメンにお湯を注いでしまったから3分後にはラーメンを食べないと、麺が伸びてしまう!」
美代先生の好きな食べ物はラーメンである。
「さらばだ! 後は任せたよ! みなみちゃん!」
美代先生は猛ダッシュで休憩室に逃げ込んだ。
「あ!? 逃げた!? もう! 美代先生ったら! プンプン!」
みなみちゃんは美代先生にいつも振り回されていました。
「キュル!」
パンダのパンパンもお怒りである。
「仕方がない。普段通り私が治療するか。」
「キュルキュル。」
ここで補足。歯科助手は患者の歯の治療行為は行うことが出来ない。
「大丈夫。私、シークレットライセンスを持っているので。」
シークレットライセンスはみなみちゃんが内閣総理大臣の虫歯を治療した時にお礼に頂いた秘密の国家資格である。ちなみにみなみちゃんはアメリカ、中国など世界中の大統領や国家主席と虫歯の治療を通じて、マブダチである。
「患者さん、どうぞ? 今日はどうしましたか? え? 歯が痛い。 そうですよね。歯が痛く無かったら歯医者に来ませんよね。はい、歯を見るので横になってください。」
みなみちゃんは横になった患者の口の中を覗く。
「あ、歯からチョコキノコが生えてますね。他に歯から光り輝くイルミネーションのクリスマスツリーも生えてますよ。クリスマスケーキの食べかすもありますね。虫歯菌にクリスマスプレゼントですか? やめて下さい。さっそく治療しますよ。」
みなみちゃんは虫歯の治療を始める。
「クリーニング波動砲!」
みなみちゃんは一瞬で虫歯を一掃する。もちろん歯はピカピカである。
「お大事に。二度と来るな。」
「キュル。」
みなみちゃんとパンパンは患者さんを見送る。
「いや~、美味しかった! ラーメン最高!」
ラーメンを食べ終えた美代先生が現れた。
「今更、出てくるな!」
「キュル!」
怒るみなみちゃんとパンダ。
「うわあ!? ごめんなさい! 許して!」
「給料上げて下さい! インセンティブつけろ!」
「キュルキュル!」
こうして無事に物語は終わっていった。
ここは渋谷のテレビ局。
「みんな、おもしろかった? 本を読むとお母さんに褒められるぞ~!またねー!」
こうしてほんのおねえさんの収録は終わった。
つづく。
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