第16話 1人と3鳥
ここは渋谷のマンションの屋根裏部屋。
「ねえねえ、エルメス様。」
「なに? バーキン。」
「魔法少女ルイヴィトンの話はどこへいったんですか?」
「私も知りたいです。」
ケーリーとバーキンが前に現れた魔法少女ルイヴィトンのことを聞いてくる。
「知らない。私は怪獣ちゃんが幸せならそれでいいのよ。」
栞は妹命であった。
「エルメス様らしいお答えですね。」
「もちろん! だって、可愛いんだもん! キャハッ!」
一人で興奮する栞。
「んん? なんだ。」
その時、屋根裏部屋の天窓をコツンコツン叩く鳥がいた。
「あれはホログラム!?」
「ホログラム?」
栞は名前を聞いても思い出せない。
「魔法少女ルイヴィトンのペットですよ!?」
「そんなのいたっけ?」
まだ栞は思い出さない。
「出てきなさい! 我が永遠のライバル! 出てこないとマンションをぶっ壊すわよ!」
魔法少女ルイヴィトンが大きな声で叫んでいる。
「それは困る!? 怪獣ちゃんが瓦礫の下敷きになっちゃう!? 仕方がない。」
栞は諦めて外に出ることにした。
「また会ったな。エルメス。」
ルイヴィトンは魔法少女らしく上空に浮いている。特に魔法使いではないので、魔法のほうきは使っていない。
「あんたが呼んだんでしょ? 迷惑な。」
「そこまで言う!? 酷くない!? ホログラム、ダミエ、ヴェルニ!?」
「鳥が増えてる!?」
ルイヴィトンの両肩と頭に鳥が乗っていた。
「私のカワイイ家族を紹介するわ。右肩にフクロウのダミエ。」
「ほうほう。」
「左肩にカラスのヴェルニ。」
「アホアホ。」
「頭の上に小鳥はやめて、雀のホログラム。」
「ちゅんちゅん。」
「これが魔法少女の私の使い魔たちよ!」
なんとルイヴィトンには3匹も家族がいた。
「ま、負けた。私にはケーリーとバーキンの2匹しかいないのに。」
「そこですか!? ツッコむところは!?」
「小鳥から雀にジョブチェンジを簡単にして許されると思っているのか!?」
さすが栞と犬と猫。言うことがミステリー。
「いいのよ。魔法少女だもの。魔法で転職させたことにしておけば、辻褄は合う!」
魔法少女ルイヴィトンは悪びれる様子はない。
「そうか!? その手があったか!?」
「エルメス様も納得しないで下さい!?」
「魔法で解決は、エルメス様もよく使う手ですね。」
結局、魔王使い、魔法少女モノは、最後は魔法なのだ。
「私とゲームをしなさい!」
「ゲーム?」
「もしも私が勝ったら、主役の座を明け渡してもらうわ。明日からは魔法少女ルイヴィトンちゃんよ!」
ルイヴィトンは恐ろしい提案をする。
「いいわよ。私、絶対に負けないので。」
エルメスもルイヴィトンの挑戦を受けて立つ。
「いくわよ! 私の魔法は一味違うわよ! 永遠のライバルのエルメスを倒せ! ルイ・ルイ・ルイヴィトン!」
魔法少女と魔法少女の一騎打ちの魔法格闘ゲームが始まった。しかもルイヴィトンの魔法はピンポイントでエルメスを倒しにかかっている。
「生ぬるい。全てを倒せ! エル・エル・エルメス!」
魔法対決はエルメスの方が一枚上手だった。魔法とは強い意志を形にしたようなものである。
「ううう!? やられた!? この私が魔法対決で敗れるとは!?」
ルイヴィトンは悔しがった。
「ごめんなさい。私、怪獣ちゃん以外には興味がないのよね。エヘッ。」
魔法少女エルメスの勝利だった。
つづく。
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