第14話 第2の魔法少女
ここは渋谷のマンション。
「行ってきます。」
谷子がマンションから元気よく出てきた。
「かわいい怪獣ちゃんが学校でどんな男に会っているかを確認するわよ!」
「まるで探偵みたいですね。」
「でも学校って、既に冬休みですよ?」
そう、クリスマス前に終業式が終わっているだろうから、今は冬休み。学校に行く必要はない。では、谷子はどこへ?
「男を殺すのは新学期と! とにかく後をつけるわよ!」
「おお!」
こうして探偵ゲームとして、姉が妹を尾行して何が悪い、が始まった。
信号を渡ろうとする谷子。
「危ない!?」
そこに赤信号なのに、信号無視をして交差点に飛び込んでくるトラックが1台。
「無の世界に吸い込まれろ! 必殺! ブラックホール! エル・エル・エルメス!」
突然ブラックホールが発生し、トラックを吸い込んで消えていった。
「ふ~う。危なかった。」
谷子をトラックの魔の手から守れてホッとする栞。
「ギャア!? エルメス様!?」
ケーリーとバーキンが犬猫らしく騒ぎ始めた。
「騒がしいわね? 今度は何よ?」
栞は犬と猫が指さす方を見た。
「ゲゲーッ!? 飛行機!?」
谷子に向かって飛行機が墜落していく。しかし、谷子は気づいていない。
「宇宙誕生の爆発を起こせ! 必殺! ビックバーン! エル・エル・エルメス!」
突然ビックバーンが発生し、飛行機を爆発させ粉々にして消えていった。
「怪獣ちゃんの無事を思えば、乗客200人の命なんて軽いものよ。」
妹のためなら人類にゲームを挑む栞である。
「ギャア!? エルメス様!?」
またケーリーとバーキンが犬猫らしく騒ぎ始めた。
「また? 今度は何よ?」
栞は犬と猫が指さす方を見る。
「ゲゲーッ!? マンホールのふたが開いている!?」
谷子の進む方向のマンホールのふたが開いていた。
「落ちろ! 土星! 忌まわしき過去と共に! 必殺! 土星落とし! エル・エル・エルメス!」
突然土星が宇宙から降り注ぎ、地面に衝突してマンホールの穴をすっぽりと塞ぐ。谷子は気にしないで歩いて行く。
「これで怪獣ちゃんに降り注ぐ害を全て駆除したわ。私が害虫を駆除する!」
ゲームに必要な必殺技と決めゼリフ。
「ふっふっふっ、ふがいっぱい。」
その時、不敵な笑い声が聞こえてくる。
「誰だ!?」
エルメスが声の方へ振り向くと一人の女の子がいた。
「久しぶりね。我が永遠のライバル、エルメス!」
「あの~、初対面ですが? どなたですか?」
現れた女の子は栞を知っているようだが、栞は女の子に見覚えは無かった。
「私のことを忘れたとは言わせないわよ! 私の名前は、ルイヴィトン!」
「ごめん! やっぱり知らない。」
やはりエルメスは、ルイヴィトンを知らなかった。
「ひ、酷い!? あんまりよ!?」
ルイヴィトンは涙を流して悲しんだ。
「私が説明しましょう。」
ルイヴィトンの肩に止まっていた小鳥が喋り出した。
「小鳥がしゃべった!?」
「そっちの犬と猫もしゃべっているでしょ? そんなに驚かないで下さい。」
小鳥は悠然と言い返す。
「うちのケーリーとバーキンと一緒にするな!」
「私の名前はモノグラム! 偉大なるルイヴィトン様の家族だ!」
ペット、使い魔、召使、奴隷、家族。やはり魔法少女の家族で統一しよう。
つづく。
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