春の夕暮れ
君は人を殺してた。それも悪気もなく。
ぎょぁぁこさががぁぁまぁ。
吐きそう吐きそう吐きそう……見たくない見たくない見たくないよぉ。
でも怖いもの見たさでこっそりと。
でも君を止めるためにこっそりと。
近づいて返り討ちかな?
グサッ
「もうそんな君、見たくないよ」
違った、相討ちだ……血まみれ血まみれ。
フラフラしてる僕の頭に天使が現れた。おそらく幻覚だと思う。
「手短に長々とっ、説明するよっ!」
そしてこれは幻聴……。
「彼は世界の乱れに、空間の乱れに巻き込まれってしまったんだ。そして春夏秋冬……それの一つしかない色んな世界、まあつまり【パラレルワールド】に迷い込んじゃったわけね。くすくす……そして春しかないかこの世界では、みんな陽気になりすぎて、平和ボケしすぎて、おかしくなっちゃった。みんなぼっーーとしてるもんだから、判断基準とか脳みそもうまく働かなくなって、まるで昔の人みたい、楽しければよかろうになった。でも昔の人の方がまだマシだね! 道徳心があったから。人はおかしくなって人殺しまでも当たり前になった。今じゃ桜の下に埋まってる死体を眺めるのが花見ってことになっちゃったよっ!! もちろんそんなパラレルワールドならば、どんなに君が愛してた香奈だって……
ほら、立派な殺人鬼だよっ!!
ははっ!」
楽しそうに笑う天使と、楽しそうに笑顔で死んでいった香奈を見て、僕は悲しくて目を閉じた……。
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