冬の明け方

 神様、僕は何か悪いことをしましたか?


 なんでこんな悲しみを与えるのです?


 世界を救えなくても世界を愛したのに


 ああ、それでも足りないの?

 ああ、ならば何をすれば満たされるの?



 * *


 寒いなぁ。手足が冷える。ってことは僕は温かい気持ちを持ててるってことだな。


 そういえば


「君の手は暖かいよね」


 隣には香奈が。


「それって私の心が冷たいってこと?」


 くすくす。君は笑っている。


「だって君冷たいじゃないかぁ」


「ひどいなぁ」


 くすくす。君は幸せそうだ。


 昔から手足が冷たい人は心が温かいなどと言われる。逆に心が冷たい人は手足が温かいらしい。


「それにしてもおかしな話だよねー」


「何が?」


 君はニコニコしてこう答える。


「だってさっ!!


 心が冷たい人なのに、手でこうして触れるだけで、人を温められるんだよ?


 不思議な話じゃない?」


 そうか。そうか。


 心が温かい人は心から人を温められるんだ。


 そして。そして。


 心が冷たい人は体から人を温められるんだ。


 神様って平等だなあ……なんて思ったり。


 でも。


「隣に君なんていなくて……分かってるよ。ここは冬だけの世界なんだ」


 冬って悲しい。切ないけどそれよりもっと、悲しい。


 何もかもを冷やしてしまうから。

 例えばね……ありゃりゃ、また春は僕を連れて行くのかい?


 これだけ言わせておくれ。


 //幸せなんて……と思ってる

 //今こそが、幸せだと自覚する

 //ことから逃げてる

 //諸君よ!!


 //ここに告ぐ。君たちの

 //世界は幸せだ!

 //冬だけじゃなく春夏秋冬……

 //四季があるのだから。

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