Wave3 Rage Storm

「ウラアアアア!」

 最後の一機にヘリをぶん投げ、全てを沈黙させる。

 残るはあの頑丈な建物の内部だ。


「……ABFとQMABパージ。中に入るからオペレート頼む」

『はい。奴らは一匹残らず閉じ込めてあります。貴女の怒りのままに、行って下さい。オペレート以外で口出ししませんから』

「……サンキューな」


 さっきまでの高揚感は瞬時に霧散。

 あの建物の内部、そこにクソッタレ共が居る。


「行くぞ……絶望をくれてやる。理不尽な絶望をな」


 瞬間、駆け出す。

 稲妻を纏い、閃光の如く走る。


 群れなす雑魚共、奴らにすれば頑強な失敗作の部隊。

即時殲滅スライドスイーパー」発動。交差する銃弾と脚撃。

 失敗作共の頭部を消す。


 張り巡らされた地雷。何の事はない。


 分厚いペラペラの防御扉。拳で一撃、粉砕。


 複雑な罠はオペレーターに任せる。


 爆煙と断末魔、巻上がる瓦礫、それを切り裂き進む。


――理不尽な恐怖と殺戮。それは銃火器でも戦車でも航空機でもない。個、確実なる眼前の個の、自身との単純で圧倒的な力の差が最も恐怖となる。

 私はそれを奴らに、奴らの身勝手極まりない都合でカイトを、ヴェインを、あんな目に合わせたクソッタレ共に喰らわせてやるのだ。

 私の可愛いカイト、私の好敵手ヴェイン。彼らを苦しめた奴らにその苦痛を数倍、数十倍にして返し与えてやる。

 楽には殺さない。苦しみ藻掻き、それに耐えかねて右往左往し転げ回っても尚、死ぬ事を許さない。

「殺してくれ」と懇願されようとも殺してやらない。苦しんだ末、その苦しみの果てに死ね。


「着いたか、奴らの最後の砦に」

 この先に奴らが居る。入ろう。


――ドガァァァァン!


「……クソッタレ共がああああああああああああ!!!!!!」

 叫び、いや咆哮。

「ブッ殺す! 楽には殺さねぇ! 苦しみのたうち回り! 恐怖と絶望の果てに殺してくれと懇願しても殺してやらん!」

「た、た、た、助け……」

「助けてやるかよ、ゴミ共が! 肉体、精神の限界まで削ぎ落とし、脳が自ら溶け始めた時が唯一死ねる時だ!」


。貴様らゴミ共の安っぽい覚悟でな……」


 鋼糸でゴミ共を縛り上げ、壁に叩きつけ、鉄パイプを釘にして磔刑にする。

 一人に近づき、ゆっくりと手足指先に突き刺す苦痛、次は腕と足に錆びついた鋸の苦痛。ゆっくりとゆっくりと、激痛を与える。


 ただれ、剥がれ、えぐれ、ねじれ、千切れ、刻まれ……


 次にどんな苦痛が来るのかという見えない恐怖。じっくり、ゆっくり、ねっとりとそれらを与え続ける。

 一人づつ順番に、死なない範囲で与え回る。


 身体中のありとあらゆる場所に刻み付けてやる。


 ゴミ共の顔が恐怖と絶望に染まる。

 だがカイトとヴェイン、特にカイトが受けた仕打ちはこんなもんじゃ精算出来ない。


「くたばれ……ゆっくりと絶望しながらな」



――

――――



「はぁ、はぁ……」

 拷問と刎首は終わり。だが、脱出と外での戦闘、施設の突破、その他諸々が身体に響いて来やがった。VR空間にいたせいで持久力下がったか? 息上がるなんてらしくねぇ。

「K! 応答を! K!』

 う、煩いな……

「ぐっ……あ……」

『K、バイタル危険です! 急ぎ応急処置を!』

「くっ、迎え、頼む……」

『迎えなら送りました! 到着までにくたばらないで下さい!』

「そう……かい」


 私の意識は切れた。ぼんやり見えた十数個の粗大ゴミは間違いなく全部死体だ。










 これで良い。なーに、すぐに目覚めるさ。

 私は化物……だからな。

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