Subject
ExtraDrift2 資料
クソッタレが……
――
「
‐
‐
‐Age‐ 不明
極東で発見した個体。
極めて高い情報処理能力を持つが持続力に欠ける。また薬学などにも高い能力を示す。
おとなしいが反抗的な部分もあり、こちらの意図で制御出来ない場面も発生した。一定期間は
人体実験は50%程の成功で完全なものにはならなかったが失敗作と戦わせる事により一定の成果は出た。失敗作との交戦で左腕と右脚を喪失、並びに昏睡。新型義手義足接続の実験体への転用の為、保存。
Kをサンプルとして回収した後にVR空間に意識転送。記憶をマスク。期待は薄いがKのデータ採取に役立つか。
――
……ふざけるなよ。
――
「SUBJECT-02 CodeName『VEIN』」
‐Habitat‐ 西部地域北部
‐Sex‐ 男
‐Age‐ 不明
失敗作との戦闘で生き残った
右腕喪失の為、
Kを捕獲後、記憶をマスクしVR空間へ。Kとの戦闘データが取れる期待あり。
――
……
…………化物を何だと思ってやがる。
少し予想していた。オペレーターがすぐにログアウトさせなかったのもこれだ。あいつはこういう所分かってる。化物には化物だけしか知り得ない、人間には知る事が出来ない、そんなものがある。
カイトとヴェインが今の状態からいきなり現実に戻れば確実にヤバい。カイトに至っては精神が即死するだろう。ヴェインもただでは済まない筈だ。向こう側に戻れば、現実に戻った喜びよりも絶望しかないのは火を見るより明らか。二人はこの世界にいる方が楽しいし充実しているだろう。
私は現実に戻りたい。確かにこっちには煩い無線も、野暮言う上司も組織もない。だが仮想空間だと分かってしまった以上、長居する気は湧かない。
なんでかって? んなもん説明できるかよ。色々あるんだ、誰か説明出来んのか? こんなんなった時の気分をよ。強いて言うなら仮想空間だって知ったらビールの味が落ちたって事だ。
まぁ、その上でだ。私がログアウトすると、多分カイトもヴェインも良くて強制ログアウト、最悪そのまま削除だ。それは勘弁願いたい。
カイトは私の可愛いツレだから無事に連れ帰りたい。
ヴェインは資料にゃ半成功作って書いてあるが、そりゃ間違いでマトモな化物だ。私より多少弱いが化物なんだよ。
んで資料の写真見る限りじゃ二人共見た目は全くこっちと同じ。
だから二人にはまず過去の記憶についてこちら側で知ってもらわないと大変なのだ。
現実側の事実と仮想側の虚構。それら二つの差が余りに酷い。
いずれにせよ、私のワガママに二人を付き合わせてしまうことになる。普通の人間相手にならこんな事は思わんが、二人共普通じゃないし、ヴェインは化物だ。カイトは可愛いツレだしな。可愛いは正義ってのはよく言ったモンだ。
窓から冷たい風が吹き込む。
「……オペレーター」
『はい』
「何日稼げる……いや、二週間稼げ」
『……おカンムリですか』
「ああ。お前もそうだろ?」
『ええ』
「ドクトルとデベロッパーに繋げろ」
『もう、いますよ』
『ハーイ、Ms.K』
「ドクトルか。カイトとヴェインの義手義足を作れ。最高のヤツをな。礼はする」
『礼なんかいらないさ。その人達にあんな粗悪品は着けさせない。技術者として許さないよ。その施設は』
「……助かる。デベロッパー、現状最強の武器弾薬をありったけ出してくれ」
『クレーターでも作れる様な物を送る。もう用意は出来てるからね』
「今回ばかりは初動を完全にアンタらに任せる。上手くやってくれ」
『もちろん』
『任されたよ』
「最後にオペレーター」
『言わずともやりますよ。その施設のあらゆるシステム、私が掌握します』
「頼んだ」
通信を切って、ベッドに横になる。非常に面倒くさいが、今回は……
「まずはカイトとヴェインをどうにかしないとな……」
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