Drift8 手続
さーて、起きたところで今日はやる事がある。それは冒険者ギルドへ行く事だ。はっきり言って面倒くさいがやっておかないと換金やら何やらも手間だしやってやる。
「なぁカイト、冒険者証ってのはどんな風にとるんだ?」
着替えと準備をすませ、部屋から出て聞いてみる。私の服はあの魔術ローブ。一応、鋼糸は仕込めたんで仕込んだ。
「うーんと、色々あるんですがボクみたいにEランクからなら特に何ともなく取得できます。でも……」
「?」
「おねえさんなら受験料を払って『技能証明試験』を受ければ少なくともDDランクでスタート出来ます」
ほうほう、つまり試験を受ければ飛び級出来る訳だ。それなら楽でいい。
「そんならそれでいくよ。会場はどこだ?」
「ギルドに行けば案内があるので行きましょう」
いいねぇ、手っ取り早いのは好きだ。宿屋の主人に挨拶してカイトを借りていき、ぼちぼち歩いているとギルドに着いた。
が、カイトは浮かない顔だ。
「カイト? どうした?」
「あんまり好きじゃないんです……ギルドって……」
あー、あれか。例の如く強さを勘違いした奴らだな。面倒くさい野郎はどこにでもいるもんだ。
「大丈夫大丈夫、おねえさんがいるだろ?」
「はい……」
あーもう、可愛いなぁ。私の後ろで服の裾掴んでるよ。そんなカイトに合わせて歩き、受付に並んで暫く待つ。待ち時間が長いのは嫌だねぇ。ああ、そういやギルドとは言ってるがそんな堅苦しい物じゃない、許認可やら依頼なんかを冒険者向けにまとめてやってるってくらいのイメージだ。
「どの様なご用件でしょう?」
「あー技能証明試験を受けたいんだが」
「……こちらの書類にサインを」
「はいよ、って私は記憶がねぇから文字が分からんなぁ」
あー面倒くさ。変わりに書いて貰うか。
「すまん、あんたが変わりに書いてくれ」
「は? それならばお引取りを。文字が分からないのでは試験になりませんので」
ちっ、面倒くせぇ。アレやるか。無駄金だ、あーチクショー。
「ほらよ、これでいいか」
「!!!!」
ふん、金払えば何とかなる。5000
「わ、分かりました。代筆致しましょう」
コロッと行くモンだぜ。全く、これだけありゃカイトに美味い飯食わせてやれるのにな。
とりあえず必要事項を書かせて呼び出し待ちだ。それまでにやる事やっておく。一時間くらい待たにゃならんらしいからな。
「カイト、文字を全部紙に書いてくれ」
「え、どうするんです?」
「今から全部覚えるのさ。筆記があったらヤバいしな」
「ええ! そんな一時間も無いのに……一応書きますけど……」
「ありがとな」
勉強は嫌いだが仕方ない。まぁ文字みたいなのは三十分もあれば完璧にマスター出来る。なんでかって? 私は化物だからさ。脳みそも化物なんだよ、脳筋じゃねぇからな。
ああ、そういやすぐに習得出来るのにさっきわざわざ賄賂送ったのは並び直すのが面倒くさかったからだ。
「そう言えばなんで受付が代筆したんでしょう? あんな事やらないです、普通」
「ん、まぁ色々あるのさ」
あんまり教えたくないね、カイトには。
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