examination

Drift7 目覚

「はーあ、張り合いねぇなぁ」


 酔いつぶれた男に向かって言う。予想通り二十も飲まん内に潰れた。


「おーい、店員さん。会計はコイツにつけといてな」

「え、あ、はい……しかしこうも酔い潰れていると……」


 店員は苦い顔だ。どうせ男の記憶が飛んでて私との約束を反故ほごにするかもしれん心配だろう。

 仕方ないから頭くらいは払っといてやる。


「これなら大丈夫です。すみませんね……我々もこの人を止められれば……」

「あー、無理だったと思うよ。酔っぱらいに何言っても通じないし」

「すみません。とにかくこの人が起きたらしっかり請求しますので」

「はは、ごちそうさん」


 部屋に戻るとするか。背中で寝てるカイトをベッドに寝かせてやらないと。

 それにしても可愛い寝息だ。むにゃむにゃ言ってるしこれは天使か何かかな? 何回もいうが犯罪的にも程がある。

 こんな夜があるなら異世界サイコーだな。ホントに帰りたくないぜ。


「さーて、部屋ついた。さぁさぁカイトをベッドに眠らせて……」


 私も寝るとしよう。カイトは起きたらびっくりする筈だ。うへへ。


「おやすみ、カイト」


 他人からみたら事案な現状だぜ。

 お楽しみお楽しみ!


――

――――


「ん……朝か」

 

 目覚ましでもなく、うるさい無線のせいでもない朝は最高だぜ。

 おまけに横には可愛い奴がいる。


「これ以上ないねぇ」


 言っとくが手出しはしてないぞ。カイトから来るのを待つだけだ。手出ししたらカイトのトラウマになりかねん。

 そんな風に考えているとカイトも起き始めた。


「おはよーカイト」

「んぅ、おはよーございまふ……ふぁぁ」

「まだ眠いか?」

「んー、眠い……」

 そんな事言いながら、抱きついてきた。寝ぼけて抱き枕か何かだと思ってるのか? なんにせよ可愛すぎる。


「もうちょい寝てな」

「んぅ……」

 暫くこうしててやるか。役得役得ぅ。


 そんなこんなで次はホントに目覚めてきた。慌てるかな?

「ん? あれ?」

「おはよ、寝ぼけて抱きついてくるなんてなー」

「わ、わわ」

 焦ってる焦ってる。もちろん私からも抱き締めてるから離れられない。

「あの、おねえさん。その、あの」

「ん、離して欲しいか?」

「え、あ、はい……」

 はは、ホントは離れたくないって感じだが離してやるか。

「はいよ、改めておはよーさん」

「おはようございます」





 さて、新しい一日といこう。




 



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