15 愛する人には、いつも幸せでいて欲しいから……。
愛する人には、いつも幸せでいて欲しいから……。
鶴はとても驚いた。
最初、鶴はその人が清宮桃子さんだとわからなかった。なぜならメイド服をきていない桃子さんを鶴はこのとき、初めて見たからだった。
「お久しぶりです。鶴さん」
セーターにジーンズというラフな格好の桃子さんはにっこりと笑って鶴に言った。
「はい。本当に久しぶりです」
同じようににっこりと笑って鶴は言う。
それから鶴は桃子さんに椅子に座ってもらい、それからコーヒーを二つ淹れて、それをテーブルのところに持って行った。
「どうぞ」
鶴は言う。
「ありがとうございます」桃子さんは言う。
鶴は椅子に座る。
「なんだか、昔と逆になっちゃいましたね」楽しそうに笑いながら鶴が言う。
「ええ。そうですね」桃子さんが言う。
竹内家のメイドではない桃子さん。
本当の清宮桃子さんを私は今日、初めて見ているのだと鶴は思った。
「桃子さんの予言。当たりましたね」
「はい。私は嘘は言いませんから」
コーヒーを飲みながら桃子さんは言う。
「どうですか?」鶴は言う。
「美味しいです」
桃子さんは言う。
その言葉が嘘ではないことを鶴はもう知っているので「嬉しいです」と言って、にっこりと笑った。
「それで、今日はどうしたんですか? 桃子さんに会えたのは、もちろん嬉しいんですけど、連絡もなしに突然」それは桃子さんらしくないと鶴は思った。
それから鶴は桃子さんの持っていた荷物を見た。
桃子さんは格好はラフだったけど、荷物はいっぱい持っていた。それらの荷物を見て、これから桃子さんは海外に旅行にでもいくのかもしれないと鶴は思った。
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