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 それからしばらくして、まりもは川の水面から顔を出した。

 ……流れがきつい。

 うまく泳ぐことが、できない。

 まりもはじたばたと手足を動かしながら、周囲の様子を観察した。

 周囲に人はいない。

 朝顔も、紫陽花も、小道さんも、……みんな、みんな川の水に流されてどこか遠いところに行ってしまったのかもしれない。

 ……私ももう直ぐ、その場所にいくのかもしれない。

 そんなことを思いながら、まりもは顔をきょろきょろと動かしてみんなの姿を探した。

 

 するとしばらくして、川に変化があった。

 朝顔と紫陽花がいた小島のあった場所付近でざばぁ、と飛沫があがって、そこから小道さんが顔を出した。

 小道さんはその手に朝顔と紫陽花を、きちんと捕まえていた。

 二人は無事だった。

 二人とも意識は失っているようだけど、確かにそこには朝顔と紫陽花がいた。

 小道さんはその場で手足を動かして、どうにかして川岸まで泳いで行こうとしているようだった。

 でも、川の流れが強くて、それがなかなかうまくできないようだった。

「小道さん!!」

 まりもは叫んだ。

 そのまりもの言葉は小道さんまで届いたようだ。

 小道さんははっとして、まりものほうに顔を向けた。

 そして、自分と同じように川から顔だけを出して、必死に水の中でもがいているまりもの姿を見て、とても驚いた表情をした。

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