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「双葉さん!! そこでなにをやっているんですか!!」

 まりもの姿を見て、小道さんは本当に珍しく怖い顔でまりものことをそう怒鳴りつけた。

 まりもは一瞬、萎縮してしまう。

 それから。「……なにって、小道さんと同じことですよ!!」と泣きながら大声で小道さんに言い返した。

 小道さんはそれからなにかをまりもにまた叫んだようだったが、その言葉はよく聞こえなかった。

 その瞬間、まりもは後方からやってきた新しい水の流れに飲み込まれるようにして、また暗い水の中に飲み込まれてしまったからだ。

 まりもはどちらが上か下かもわからない水の中で懸命に手足を動かしていた。

 でも、いつまでたってもまりもは水面にたどり着くことができなかった。

 ……息が続かない。

 やばい。

 まりもは思った。

 すると、そんなまりもの手を誰かの手がしっかりと掴んでくれた。

 ……誰?

 まりもは思った。

 でも、その答えは直ぐにわかった。

 今の状況でまりもの手を掴める人は一人しかいなかった。

 それはもちろん、まりもの愛している人である、秋葉小道さん、その人だった。


「ぷはぁ!」

 まりもはその手に引っ張られるようにして、水面に顔を出した。

 するとそこには、まりもの思った通り、小道さんがいた。

 小道さんは強い瞳でまりものことを見つめていた。

「……どうしてこんなことをしたんですか?」小道さんは言った。

「……ごめんなさい」

 まりもは怒っている小道さんにそう誤った。

 本当は、小道さんが川に飛び込んだから、と言いたかったのだけど、言えなかった。

「……いえ、こちらこそすいません。でも、とにかく今はまず二人を安全な場所まで移動させなければいけません。双葉さん。協力してくれますか?」小道さんは言った。

「もちろんです」

 まりもは答える。

 それからまりもは小道さんが抱きかかえている双子のうち、朝顔のほうを小道さんから預かった。

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