11 私はずっと、走るのをやめない。
私はずっと、走るのをやめない。
「はぁ、はぁ」
まりもは息を切らせながら、土砂降りの雨の中を一人で走っていた。
事故でうまく走れなくなってから、こんなに一生懸命になって走ったのは初めてのことだった。
まりもは木ノ芽さんの家に到着した。
そこには警察の車が止まっていて、家の中にはその警察の人と木ノ芽さん夫妻がいた。どうやら、一度、捜索を止めて、朝顔と紫陽花のいきそうなところを確認するために、みんなは木ノ芽さんの家に戻ってきていたようだった。
「木ノ芽さん!」
まりもは木ノ芽さんの家の庭から、そう叫んで、大きな窓を軽く叩いて呼びかけた。家の中にいるみんなはまりもにすぐ気がついた。
「まりもちゃん。どうしたの?」
雨でずぶ濡れになったまりもを見て、木ノ芽さんの奥さんがすぐに駆け寄ってきて、まりものために人の出入りができるようになっている、大きな窓を開けてくれた。
そこでまりもは先ほど神社であった小道さんとのやり取りをみんなに伝えた。
すると木ノ芽さん夫妻と家の中にいた警察のかた二人は事情を理解して、すぐに行動を開始した。
「あの、私も連れて行ってください!」
まりもは言った。
木ノ芽さん夫妻は一度、顔を見合わせてから、「わかったわ。いいですよね?」と奥さんのほうが警察のかたに聞いた。
「ええ。詳しい事情を知ってる人がいてくれると助かりますし、事態は一刻を争いますから」と警察のかたは言った。
「ありがとうございます」
まりもはお礼を言った。
それからまりもは木ノ芽さんの車に乗せてもらって、警察の車と一緒に、二台の車で街の中に流れる大きな川のところまで移動した。
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