第6話


「…あげられたかしら?」

「…ああ。しっかり受け取ったよ」

「それは良かったわ。じゃあ、さよならしましょう」

「…やっぱり、そうなるんだよな」

「あら、私だって迷ったわ。だって貴方はここにいるんですもの。私のすぐ側に。ここに」

「それなのに、さようならなんだね」

「ええ、そうよ。だから鍵をあげたんじゃない」

「おれが望んだこと」

「そう。貴方が望んだこと」

「ありがとう」

「…しっかりさよなら出来るかしら?」

「きみが寂しくならないように、おれからはきみに新しい歌をあげよう。きみだけの歌を」

「まぁ素敵!!私の宝物になるわね」

「だといいけどな」

「さぁ、下さいな?私だけの歌を」

あぁ…この声。

そう、私の大好きな声。

どこまでも胸の中で広がる。

どこまでも私を魅了してくれる。

なんて綺麗。

なんて素敵。

なんて美しい。

なんて、儚い。

「…どうもありがとう」

「お気に召したか?」

「ええ、とっても!!」

「それは良かった」

「ええ…本当に本当に…ありがとう」

「きみの事、忘れない」

「それはどうかしら?ターコイズブルーの夢は醒めたらただの青色よ?」

「だとしても、だ」

「さようなら。愛(うた)をくれてありがとう。貴方のこれからが、ここより美しくありますように」

「さようなら。おれをかえしてくれてありがとう。きみの時間が、おれより愛で溢れますように」


ーさようなら。愛しのCEYRENー

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