第4話
段々空が高くなっていくわね。
遠くの方は真っ赤に染まっているみたい。
私はいつも通り海辺を散歩していた。
「…やっと会えた」
後ろから声をかけられても、もう私だって驚かないわ。
私はダンスのターンをするように振り返った。
「ごきげんよう、Mon Chérie?」
「ごきげんよう、Ma Chérie.」
彼はまた制服を着ていたわ。
でも今度は違った。
「…やっと、枷ではなくなったのね?」
「ああ。本当の望みが見つかったんだ」
「それは良かったわ。…少しでもお役に立てていればいいのだけれど?」
「勿論だ。きみの言葉と歌がなかったらきっとまだ鎖でぐるぐる巻きだっただろうね」
「まぁ!!それは嬉しいわ!」
「…きみに会いたかった」
「奇遇ね。私もよ」
「きみは…」
「ねぇ、貴方の本当の望みを聞かせて頂戴?」
「…おれの本当の望みは■■■■■■■■」
「……なんて言ったの?聞こえないわ」
「そうだよ。きみには聞こえない。きみはこの言葉を聞くことを拒否しているんだ」
「そう…それは残念ね」
「きみに会って、確かめなきゃいけない事が沢山ある」
「あら、何かしら?」
「きみは本当は…」
「ちょっと待って、その前にまず私がしたいことをさせて?」
「いいよ」
「貴方は何が見たい?」
「え?」
またおめ目がまん丸。
なんて愛らしいのかしら。
「貴方が見たいものを何でも見せてあげるわ」
「それがきみのしたいことなのか?」
「ええ、そうよ。これが私のしたいこと。私にしか叶えられない貴方の願いを聞いてあげる」
「随分と贅沢させてくれるんだな」
「当たり前よ。だって貴方は……それで、何を見たいの?」
「何でもいいの?」
「ええ、何でもいいわ」
「海の底が見たい」
「では目を閉じて」
そう。
そのまま。
海の底に………
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