キョ獣の唄 / 嫉妬


お前が深淵を覗く時、深淵もまたお前を覗いていると言う。


しかし、一度深淵に身を浸してみれば、何も見えぬ。何も聞こえぬ。


目も眩まんばかりの他者の光に目を焼かれ、見たくもない自身しか見る事が出来ぬ。


お前を覗く深淵など、最初から居はしない。ただ、汚濁にも劣る汚ならしいお前自身を、お前が改めて識るばかりである。

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