めくれる

 自分が存在しているという感触が

 とつぜん剥がれることがある

 世界にのりで貼りつけていたみたいに

 ぺらっとめくれて

 端っこだけがかろうじてくっついている


 ああ、めくれた

 めくれためくれた

 子どもの頃は

 よくめくれていたな

 自分がなんでいまここにいるのか

 自分がなんでこの名前なのか

 自分がなんでこの人間なのか

 当然だったことすべてに疑問符がつく

 めくれた、めくれた

 まためくれた

 童心に帰るように

 剥がれ死にそうなめくれ具合

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