わたしは合議制の声よりも

 個人的な声を愛する

 顔のない群衆の声よりも

 血の通った声を愛する

 それがどれだけ支離滅裂で

 主観的で

 非論理的であったとしても

 そこに痛みがあるのなら

 わたしは痛みの震えを感知して

 文字から聞こえる声のように

 痛みから透ける魂に触れる

 そうしてその痛みを哀惜しながら

 わたしは記憶に焼きつける

 わたしが死んでしまうその日まで

 いつでもその声を思い出せるように

 聞こえてしまった者の義務は

 功利と無縁に果たされるべきだと信じるから

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