ニュースに痛覚がない

 ニュースに痛覚がない

 その問題は

 ずっと解決しないまま

 無音でいのちが喪われていく

 冷たい文字列に収斂されていく

 恐怖を感じられない恐怖

 死体に囲まれて笑っている可能性

 こんな世界は嫌だった

 嫌で嫌でたまらなかった

 血が見たいというわけではない

 悲鳴を聞きたいというわけでもない

 痛みを感じたいわけではない

 それでもこの無音がたまらなくおぞましいということを

 忘れないうちに書きとめておきたいだけだ

 一日のうちの大半は

 忘れることに費やされているから

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る