詩の最初の一行

 詩の最初の一行は天使が書く

 二行目は人間が書く

 と

 ある詩人は言ったそうで

 たしかに最初の一行さえ浮かべば

 あとはなんとかなる

 どうにかなる

 なにかにはなる

 と

 詩を書いているつもりの人間にも

 思い当たるところはあって

 しかし本当に

 詩の最初の一行というのは

 どこからわいて出てくるのだろう

 幽霊みたいな言葉だ

 言葉は自分の所有物ではない

 と

 不意打ちのように思い知らされる

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