幻想

 義務感だけで

 人は死ねない

 そこにはかすがいのような

 あいだを取り持つ夢がいる


 幻想に

 応える義務は

 死にはない

 男らしさや女らしさに

 応える義務が

 人にないように


 恋が夢なら

 死もまた夢か

 恋が現実なら

 死も現実か


 だれにも顔を見られない死

 ベールをかけたのは

 われわれの認識

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