夕方ではない朝
ぼくはなにがしたいのだろう
なにを望んでいるのだろう
明日も待たず
人に期待せず
それでも死なず
また起きて
水を飲んで
空気が澄んで
夕方ではない朝は
どこか冷たくて
他人事で
人ではない人が
歩いているようで
鳥を見たような気がした
空をあおいだ
いなかった
きっと今夜の記憶では
鳥がいたことになっている
日々の改竄
なおも続いて
坂道の傾斜が
いつもよりなだらか
たぶん
そんなに悪い気分ではない
足音が静かだから
電線は
だれの神経網なのだろう
街は
くしゃくしゃに歪めた無表情
ポケットに手紙がある気がした
指で探った
なにもなかった
きっと今夜の記憶では
便りがあったことになっている
望みの捏造
断ち切れなくて
ぼくはどこにいるのだろう
どこに向かっているのだろう
夕方ではない朝が
歩くのを誘って
生きるのを拒んで
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