吹く風は

 吹く風は

 涼しくもあるか

 おのづから

 それは実朝の和歌

 殺された詩人の詩

 続きの下の句をいつも忘れてしまう

 自分にはこれだけで十分だ

 その言葉だけで

 詩を遺してくれてありがとうと

 殺された詩人に感謝したくなる

 たびたび思い浮かぶ言葉

 死ぬまで忘れないであろう言葉

 そんな詩は本当に貴重で大切で

 言葉を慈しみたくなる

 風はさやかで

 こころもそぞろ

 死者にも風は届くと信じている

 気まぐれな恩寵と知りながら

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