非存在

 生きると存在

 死ぬと非存在

 それはずいぶん

 不思議なことだ

 存在だけしか知らないから

 存在は非存在を想像できない

 死者は生きる者にとっては存在する

 忘れないかぎりは

 死者が死んだ者にとって存在するかは

 わからない

 存在と非存在は

 対称ではない

 それはあまりにも違いすぎる

 生まれる前は非存在だった

 そう考えても無意味だ

 非存在は前世ではない

 非存在は非存在だ

 非存在は存在に属していない

 それならば死んで非存在というのも

 どこか間違いの気分が漂う

 神と名づけられた不定形のなにかに

 非存在は属しているのか?

 神は存在か非存在か?

 死が解ければ

 神も解けるのか?

 どちらも想像と言語化を拒むのに

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