泣きそうだ

 今日も

 死ねなかった

 泣きそうだ

 なにもなければ

 死なないのは

 当たり前のことだけど

 当たり前が辛い

 生きたいと

 懇願しているどこかのだれかに

 命を譲り渡すべきだろうか

 死にたいと

 惰性のようにつぶやくのは

 死につつある人への侮辱だと

 もっともな叱責を受けたとしても

 生きたくなくてたまらない

 どうせなら

 死んだ祖父に

 死んだ知人に

 死んだ作家に

 自分の寿命を使ってほしかった

 なぜ

 生きたい人間が死んで

 死にたい人間が生きるのだろう

 生きたくなくて

 泣きそうだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る