浮遊

 相変わらずぼくはまた

 飽きもせずに暗い詩を書いていた

 言葉以外にはもう

 なにほどの現実も持っていなかったから


 どこで喪ってしまったのだろう

 ぼくが存在していた現実

 ぼくが空気に触れていた現実

 ぼくがあの人に語りたかった現実


 足が地面を離れてから

 ずいぶん時が経ってしまった

 ぼくは浮上しているのだろうか

 落下している最中だろうか


 鳥打ちはいないか

 マタギはいないか

 撃ち頃の魂がひとつ

 風船みたいにただよっているぞ

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