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目次
わたしは通りすぎる
時間の経たない暗闇を
記憶を持たない絶望を
舌先が夜に痺れている
喉の渇きを黒でうるおす
入れ違いになった福音を
細かく切り刻まれた慈悲心を
爪先が死に焦がれている
皮膚のさざなみを悪で慰撫する
通りすぎることで消えていく
優しい人々に別れを告げながら
鼓膜に届く嗚咽を無視しながら
通りすぎたくなかった
あらゆる過去を見殺しにして
わたしは
通りすぎたくなかったのに
通りすぎることしか許されなかった
わたしが通りすぎないことを許さなかったなにかを
けっして許さない
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