朝蜘蛛、夜蜘蛛

 蜘蛛を見る

 蜘蛛がいる

 朝蜘蛛は殺すな

 夜蜘蛛は殺せ

 剣呑なその命令は

 いつから記憶にこびりついたものか

 朝だろうが夜だろうが

 蜘蛛を殺す気にはならないが

 条件反射のように喚起される

 殺害命令は気にかかる

 夜が罪を負わせるのだろうか

 夜が存在を忌むのだろうか


 朝に出会った人間は見逃し

 夜に出会った人間は殺そう

 それが鬼神の約束かもしれない

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