離された場所

 さてここはどこだろう

 人はいないし

 木も生えていない

 空はないけど雲はある

 海はないけど波はある

 倫理の砂漠だろうか

 情動の墓場だろうか

 とにかくぼくは話せない

 離すことでしか話せない

 離すものはなにか

 共感のうなずき

 胸の震え

 意味のない涙

 そういったもろもろである

 魂に離別されたぼくは

 こころをなくした代わりに

 言葉を得たのである

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