頭のなかの空と風船

 すべての音楽は哀しいものだ

 すべての詩は哀しいものだ

 そんなぼくの偏見は

 是正されるべき謬見なのか


 明るいものは寂しい

 暗いものは意外と能天気

 そんなぼくの経験則は

 半面の真実くらいは含んでいるか


 どうだっていいんだよ

 そんなこと

 いいや違う

 とても大事なことなんだ


 街頭でアドバイスを受けた

 もっと上を向いて歩いた方がいいですよ

 だがぼくの関心は地べたに集中しており

 頭のなかの空を観察することで忙しい


 風船が飛んでいた

 色は忘れてしまった

 色なんてなかったかもしれない

 風船なんて見なかったのかもしれない

 ただ想い浮かべる空にはいつも

 つがいの鳥と

 聖化された風船

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