老衰への歩み

 結構なことだ

 老いるということは

 結構なことだ

 自然死というのは


 老衰

 時間の帰結

 避けえない枯渇

 日々に身体は死んでいく

 子どものときに遭遇する

 乳歯から永久歯への生え変わりという驚くべき現象

 口内で起きるその有限の転生にさえもすでに

 死の兆しの予言が胚胎されている

 抜けた歯を天地に還すプレ埋葬

 やがて本人の肉体すべてが天地に還るときが来る

 細胞は毎日死んでいる

 肉体は不断に生を更新しながら死を準備している


 結構なことだ

 衰えるということは

 結構なことだ

 おびただしく死んだ後の死は

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る