浮遊霊

 幽霊は見たことがないけれど

 浮浪者は見たことがある

 無視を日常として背負う

 街路樹と等号で結ばれた彼ら

 風景のシステムに組み込まれた生命体

 幽霊になりたかった少年は

 夢を軌道修正して浮浪者を目指した

 そうして望みは叶い

 雪に震えながら死んだ

 幽霊になる夢も叶った

 なんて幸福な一生だろうと

 浮遊霊は回想しながら笑った

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