竜の住む南の島で、混血の少女は島の人々に虐げられながら育っていた。遠い大陸から来た白い人々に支配される村人たち、その村人に支配される孤児の少女という構図は、ひとりの下級貴族の男性イルヴィルの行動によって終わりを迎えた。
イルヴィルよってリージャと名付けられた少女は、島を出て、大陸側にある彼の屋敷に引き取られる。そこには、島から連れて来られた仔竜と、孵化していない竜の卵があったーー。
守ってくれる親兄弟もなく、混血故に虐げられるリージャの境遇が、胸に迫ります。それだけに、イルヴィルと彼女を迎えた屋敷の人々の優しさが、貴重に思えます。言葉を覚え、数を覚え、次第に周囲の大人達に心を開いていくリージャが、竜の子と重なります。
優しい気持ちになれる児童文学風ファンタジーです。