最終話 一緒に寝ましょう、せんぱい?

美桜ちゃんより先に出ると、直ぐに自室に戻った。

ごそごそとタンスから敷き布団を出してくる。とはいっても普段使ってるのも敷き布団やけど。


美桜ちゃん用の布団を自分の布団と1メートルぐらい離して置く。一緒に風呂まで入ったが、こればっかりは理性を保てるか不安だった。


「せんぱい、出まし……ってなんですかこれは」


「何って……一緒に寝てるけど」


「なんでえっちなせんぱいの癖にくっつけないんですか、馬鹿ですか、あほですか」


美桜ちゃんは自分で敷き布団の横を押して俺の布団とくっつける。


「襲われるかもよ?」

冗談で言ってみたら、美桜ちゃんに笑われた。


「チキンせんぱいは絶対できませんって。まあ好きな人に襲われる位、別に良いですけど」


正論過ぎて反論できない。

悪かったなチキン先輩で!




布団に入ると、当然のように俺の布団に潜り込んできた。

「ちょ、狭いって!」 

「えー、だって寒いし」

「じゃあ電気代勿体無いから電気毛布切る」

「どうぞどうぞ」


「もう好きにしろ、おやすみ」


「おやすみなさい、せんぱい」


―――

ふふふ、せんぱいはもう寝たと思ってるんですね、甘いですよ?


といっても、大したことは出来ないからせんぱいに抱き着いてしまう。男にしては白くて細めの身体。でもやっぱりかっこよくて、優しくて。


あの鍵を無くしたときから私はせんぱいに恋をしていたと思う。こんな一緒の布団の中で寝れるなんて、友達やったら出来ないし。

せんぱいはちゃんと私の事を女と思ってくれてたんだから、今日だって告白された。

せんぱいに出会うまで、こんな信頼できて、優しい人なんていなかった。

だから、私もちゃんとせんぱいにお返し出来るように頑張らないと。


「大好きです、せんぱい♪」

耳元で囁いてみました。


「………………!」

なんと、せんぱいが寝返りをうって私の胸の上に腕があるのです。

ちょっといたずらして、朝せんぱいをびっくりさせましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る