6.犯人追跡
「ここへ入っていったみたいだけど、これはなんなんだ?」
「王都も元は遺跡なのよ。古代では地下に多くの通路が作られて利用されていたと言われているわ。ここはその一つ。」
あー、つまり下水道かもしくは地下電線なんかを埋設する共同溝ってことか。見たところ水が流れる部分が無さそうだし、共同溝かな。確かに、よく見れば壁材に使われているのはコンクリートのようだ。あまりに風化し朽ちているため、土壁に見えたけど。
「昔はこの地下通路を利用していたらしいのだけど、モンスターが住みついたりってことがあって封鎖したはずなんだけど……。」
そう言いつつ、エリーゼは周囲に打ち捨てられている木材片を見る。
「明らかに封鎖が破壊されてるな……。」
「ここで見ていても仕方ないわ。いきましょう。」
俺たちは揃って地下通路へと足を踏み入れた。
「まさか地下を進むことになるとは……。」
暗闇の中、エリーゼが持ち込んだ松明の明かりを頼りにすすむ。事前に分かっていれば、懐中電灯やら携帯式バルーンライトなんかを作成しておいたのだが、今回は準備していない。俺とレインだけだったら
「ほとんど誰も出入りしていないみたいね。朽ちた床を通る足跡が確認できるわ。」
エリーゼが分岐点で地面の足跡を確認している。一方方向の通路にのみ、大量の出入りを示すような足跡が残されていた。
更に進むこと数分。前方の角からわずかに光りが見える。
「──ちゃん、ごめん──。」「いいの──、それより──、」
その先からほんの少しだが話し声が聞こえる。
「見つけたわ……。」
「っ!」
「──げなさい、」「でも──」「いいから!」
曲がり角の先から、慌てたような声が聞こえる。どうやら俺たちの接近に気付かれたようだ。
エリーゼは駆け、一気に角の先へと進む。
「逃がさないわ!」
角を曲がった先、そこには小部屋のような空間だった。部屋の中央あたりで2人は向き合い、その傍らには茶色の袋が落ち、中からは芋などの食物が転がり出ていた。隅には寝床にしているらしき薄汚れた布の山がある。環境が良いとは言えないこの場所に姉弟で身を隠していたようだ。
どうやら今は
「ここはお姉ちゃんに任せて、早く行きなさい!!」
「で、でも……。」
部屋の奥には別の通路がある。
『アルバート!!』
『すぐに参ります!!』
エリーゼの思念に呼応する念波が響く。
「グルァァ!! ハヤク!!」
瞬く間に
エリーゼに黒い鋭利な爪が襲い掛かる! がそれを俺が受け止める。
「うぐっ!」
ものすごい膂力だ。押さえた腕がジリジリと接近し、頬をわずかに傷つける。直後、顔を金属の外殻が覆い隠す。
ロングコートの擬態を解除し、パワードアーマーが展開された。
四肢は軽快な駆動音を鳴らしつつ、変身した
「レイン! 弟を!!」
「わかりました。」
「ガゥゥッ! イカセナイッ!!」
直後、小部屋奥の通路先から大きな崩壊音と振動が響き、
「ぅぁぁぁぁぁ」
小さな悲鳴も聞こえた。
「ロディ!!」
「レイン、エリーゼを任せた!!」
俺はレインに告げながら、両手両足のフィールド発生器全開で奥の通路へと飛び込む。
その場所はすぐ目の前だった。共同溝の天井が崩れ、銀の巨体が覗き込んでいる。中へと突きこんだ大きな両手で人間を掴んで捉えていた。
『エリーゼ様。捕獲いたしました。』
冷静に振舞おうとしつつも、少々浮かれた様子でアルバートが報告の思念波を飛ばしてくる。
「アァッ! ロディ!!」
「グアァァァァァァァァッ!!」
程なくして、
「姉ちゃん!!」
マグナに捕獲されている
「やめろ、姉ちゃんを放せ!!」
「離せ! はなセヨ!!」
暴れ方が激しくなる。不味いな。俺は
「ハナセヨォォォォ!! グアァァァァァァァ!!!!」
マグナの左手から指数本が吹き飛び、
壁を蹴り、
「くっ、相変わらず速い!」
背後からレインとエリーゼが追いついてくる。
「危険だ、下がっていてくれ!!」
背後のレインに伝えつつ、再び突撃してくる
「ゴァァァァ!!」
突撃してきた
「上!?」
天井に着地し、天井を蹴って爪を振り下ろしてくる!! 振り下ろされる爪に俺は
激しい衝突の威力が溝内を揺るがす!
「ギャウゥン!!」
身を起こしかけた
【Willact Field Detected ...】
咄嗟に上体を逸らす。俺の頭があった場所を真っ赤な爪が薙ぎ払う。
「グガァァ!!」
脇に膝蹴りをいれ、一瞬の隙に
【Willact Field Detected ...】
宙に浮きつつ、
「させるかよ!」
"溜め"を止めるべく追撃しようとしたところへ、横合いから別の影が飛びかかってくる。
「ゴァ!」
「くっ!
視界が一気にグレースケールに切り替わり、全ての動きがスローになる。
突撃してくる
2人は絡み合いながら壁に激突、落下した。直後、2人揃って飛び起き、壁を蹴りこちらに突撃してくる。
そして
レインがフルスイングで
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スペックシート:ルクト・コープ(識名 孝介)、レイン
氏名:ルクト・コープ(
性別:男
年齢:15
タイプ:中近距離戦
装備:
・PEバッテリー
高性能なエネルギー蓄積装置。装置内部に陽電子化した状態でエネルギーを保持するため、小型で超高容量。
無線給電によりエネルギー量は自然回復する。
・義手義足
チタン合金による骨格、人工筋繊維による作動、強化繊維ベースの強靭な人工皮膚によって構築されている。
【
・圧縮格納μファージ
機能を停止し、体積圧縮されたμファージ。体内や義手義足の余剰スペースに格納保存されている。
そのままでは使用できない。使用する場合には解凍展開、機能の再起動を行う必要がある。
展開すると黒い粘液体で広がる。展開状態であれば装備の設計変更、再構築など、様々な用途に使用可能。
・パワードアーマー3
チタン合金外骨格、内部に人工筋繊維によるパワーアシストシステムを搭載した全身鎧。
頭部もフルフェイスでカバーするため、外からは顔が見えない(中からは各種センサで外の様子がわかる)
取り回しなどの関係から、背部ガンアームと「
・麻の上下
住民がよく着ている一般的な服装。
諸元:
・PEバッテリー
容量:3000kWh、最大出力:500kW、最大蓄積能力:300kW
・フィールド発生器×4(両手両足の義手)
最大出力:72kW(推力:1600N)(4基合計)
技能:
・飛行
・
ウィラクトによる衝撃波。近距離用であるため、射程は数十cm。
・
ウィラクトによる衝撃波。高収束による遠距離用。射程は数m。
スラストタイプは距離で威力が減衰するため、攻撃力は
・
連射式の
・
ウィラクトで手足のアーマーを強化し、攻撃力を上げる。射程は手足の届く範囲。
威力は
・
フィールド発生器の圧縮器内圧を限界まで引き上げ、威力を増した
収束することができないため、接近して放つ必要がある。粒子圧縮器が過重に耐えられず
1回で破損する。威力は
・
ディール粒子かく乱により思考混乱。一時的な全身麻痺を起こす
相手の頭部付近に直接触れる必要がある。
・
思念波を球状に展開し、防御用の障壁を生成する。物理的攻撃や思念力攻撃を防ぐことができる。
・
各種リミッターの解除(飛行機能、パワーアシスト機能など)と、思考加速を用いることで、稼働速度域を数段上げることができる。
使用時間はシステム上の制限は存在しないが、PEバッテリーの消耗や生体部分への負担を考えると3分程度が最適。
氏名:レイン(本名 ,%&#|$'-レイ^n)
性別:女
年齢:16?
タイプ:遠距離戦
装備:
・PEバッテリー
高性能なエネルギー蓄積装置。装置内部に陽電子化した状態でエネルギーを保持するため、小型で超高容量。
無線給電によりエネルギー量は自然回復する。
・全身義体
チタン合金による骨格、強化繊維ベースの強靭な人工皮膚によって構築されている。
【
動作には人工筋繊維と
・オープレシーインジェンス
レイン専用、通常の
レインの過剰な
・メタルヘルム
孝介が【EQコンストラクタ】で構築した開閉式フルフェイスヘルメット。
・リキッドドレスアーマー
孝介が【EQコンストラクタ】で構築した長袖・ロングスカート形状のワンピースアーマー。全身黒色。
ポリアミド素材にダイラタント流体を合わせた素材で作られており、通常時は柔らかいが、速いせん断刺激(衝撃)
には強い抵抗力を発揮する。
両足のフィールド発生器の邪魔にならないようにスカート形状としてある。
残念ながらスカートの中はショートパンツをはいている。
・バックパックガンアームと
今回の調査では目立たないことが重要であるため、大掛かりな装備は外している。
諸元:
・PEバッテリー
容量:5800kWh、最大出力:800kW、最大蓄積能力:300kW
・フィールド発生器×2(両足)+バックパック
最大出力:65kW(推力:1500N)(3基合計)
技能:
・飛行
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