第427話美少女アイドルを救え!(5)
柳生隆が一般論として、話を始めた。
「日本において、不倫の記事は売れる」
「特に注目度が高い有名タレントなどの不倫話は、絶好のカモになる」
「テレビのワイドショーの視聴率も跳ね上がる」
「ワイドショーに出演するコメンテーターにも、仕事が入る」
「そして政治ネタと違って、コメントは簡単」
「ただ、不倫した男女を怒ればいい、こんな楽なことはない」
「いわゆる話題が乏しい時、雑誌の売れ行きとか、テレビの視聴率が低い時に、無理やりにリークするという場合がある」
「それが真実であっても、虚偽であっても、決着がつくまで、雑誌も売れるし視聴率も稼げる」
「まあ、不倫だから配偶者との離婚後まで、大騒ぎは続くけれど」
松田明美も柳生隆に続く。
「結衣ちゃんが全否定する以上は、無理やり仕立てられたゴシップの可能性が高いの」
「言い方が悪いけれど、それで得する人も多い」
「結衣ちゃんのライバルが、センターになるなんて、小さなこと」
「そういうのが、華やかに見える芸能界の裏」
柳生隆が、少し難しい顔。
「ただ、結衣ちゃんの場合は、それがさらに複雑なんだ」
その柳生隆の顔に全員が注目すると、柳生隆は声を少し低くする。
「柳生事務所の調査では例の結衣ちゃんのライバルの女の子は、某野党の大幹部、党首クラスと深い関係にある」
「もちろん、テレビ局のプロデューサーとは比べられない程の大物」
「その政党の大幹部と、結衣ちゃんのライバルとの関係が、バレそうになった」
「だから、その矛先をかわすために、結衣ちゃんのライバルと結託して、結衣ちゃんにゴシップを仕立てる」
「結衣ちゃんのライバルの手下も、プロデューサーも、その目的で動いた」
「マスコミリークもその政党と関係が深い例の新聞社系列の週刊誌、テレビ局が最初」
「まあ、その嘘を言うプロデューサーも、その政党と関係が深いから、仕掛けを拒否できない」
シルビアが不機嫌な顔。
「つまり、結衣ちゃんは、その野党の大幹部の不倫隠しの犠牲に、ゴシップをしかけられたの?」
「政界の闇と芸能界の闇が一挙に結衣ちゃんに?」
「マジに許せないなあ」
春香が華音の顔を見た。
「なあ、華音、どうする?」
華音は、腕を組み、目を閉じた。
「とにかく、悪だくみをする人たを倒したい」
「でも、確たる証拠がないと、難しい」
「結衣ちゃんの活動も難しいよね、当面は」
「マスコミが騒いでステージどころでなくて、街も歩けない」
「外にも出られない」
結衣も不安な顔で、華音を見つめる中、エレーナが結衣の肩を抱いた。
「大丈夫、華音ちゃんが何とかする」
「私もルーマニア人、卑怯な相手には、とことん戦う」
「どんな相手にも、負けない気概を持とうよ」
華音は、目を開いて結衣とその両親に声をかけた。
「決着がつくまで、ここの屋敷に住んで欲しいけど、どうかな」
柳生隆も華音の気持を読む。
「家財道具は、柳生事務所で責任をもって対応するよ、だから心配ない」
「困った時には、同郷人さ、助け合おうよ」
松田明美も続く。
「警察も柳生事務所と連携して、相手を叩きのめします」
「そんな無実の人を犠牲にして、のさばる連中なんて慈悲はかけない」
この提案に、結衣とその両親は、感激。
特に結衣は、また大泣き。
「あーーー!華音ちゃん!」
と、むしゃぶりついて、そのまま押し倒している。
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