第426話美少女アイドルを救え!(4)

マスコミが押し寄せるマンションから脱出し、華音の屋敷に到着した結衣たちは、応接間にいる。


結衣

「ありがとう、これで安心」

結衣の父も頭を下げる。

「どうなることかと、近所の人にも迷惑をかけるし」

結衣の母美智子が、結衣に事情説明を促す。

「とにかく、何故、こんなことに?」

「結衣から説明しなさい」

華音も結衣に声をかける。

「何でも聞くよ、僕たちは結衣ちゃんを信じている」


その華音の言葉を受けて、結衣は話し出した。


「アイドルグループに入っているのは知っていると思うけど」

「簡単に言うと、人気投票、センターの位置投票があって」

「うれしいことだけど、最近、私の人気が高くなってきていて」

「でも、それが気に入らない女の子がいて・・・」


結衣の顔がそこで曇る。

「あることないことを、隠れて言いふらすの」

「女の子の中にもグループがあって、その女の子の取り巻きを使って」

「マスコミの人とかに、こっそり嘘を言う」


シルビアが頷いた。

「そんなことだろうと思った」

「よくある女の嫉妬のパターンだよね」

「それで、けっこうしつこい」


春香が結衣に尋ねた。

「それでな、不倫とかは、何や?」

「何でそうなるん?」


結衣の血相が変わった。

そして関西弁に変わる。

「それこそ、騙されたんや」

「その子に言われて」

「テレビ局のプロデューサーが呼んでるって話で」

「プロデューサーの部屋に出向いていれば」

「部屋にはプロデューサーはおらん」

「おかしいなあと、思うとったらシャワーの音がする」

「何だ、シャワーかと思って、待っとったら、プロデューサーがバスローブだけつけて出てきた」


結衣は、ここで唇を噛んだ。

「その時や・・・写真を撮られたのは」


松田明美は、一つ一つメモを取っていたけれど、ここで確認をする。

「つまり、その写真を誰かがマスコミに渡して、不倫やら何やらの騒動に?」

結衣が頷くと、松田明美は、また尋ねる。

「そのどうでもいい写真を撮ったのは?」

結衣は苦々しい顔。

「センター争いをしている女の子の手下」


今度は華音が質問。

「ねえ、結衣ちゃん、そのプロデューサーも困るのでは?」

「彼は、どう言っているの?」


結衣の顔が怒りで真っ赤になった。

「・・・俺は被害者って・・・」

「結衣に迫られたって・・・」

「センター狙いの結衣が俺のプッシュを狙って無理やりって・・・」


黙って聞いていた柳生隆が全員の顔を見た。

「事務所で調べたけれど」

「もう少し裏があるような気がする」

「つまり黒幕がいる、少し危険かな」


応接にいる全員の顔が緊張感に包まれている。


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