第350話華音は新聞部高橋麻友に迫られる。

華音は午後のスピーチも順調に終わり、写真撮影も無事終了したので、約束通りに新聞部高橋麻友のインタビューに応じることになった。

ただ、華音はインタビューにおいても、文学研究会のメンバーを同席させている。


新聞部高橋麻友

「今回の文学研究会の文学喫茶は、珍しい取り組みで、出された飲み物も食べ物も美味しくて上品で大好評」

「また室内装飾もまさに平安期、源氏物語の世界が魅惑的」

「それから華音君の紫の上についてのスピーチが、本当に印象深くて」


部長長谷川直美

「華音君がいろいろアイディアを出してくれて、全員で協力をして」

部長長谷川直美の言葉に女子部員全員が頷くと、高橋麻友は華音に質問。

「華音君、転校してきたばかりで、すごい大活躍」

「テニス部の一件から始まって剣道や空手、柔道部の問題、野球部の問題も解決して」

「それから文化祭でも大活躍、本当にすごいなあと思っている生徒が多いけれど、華音君自身はどのように?」


華音は、いつもの冷静な顔。

「いや、僕がどうとか、との話ではなくて、みんなで協力した話です」

「いろんな考え方があるけれど、危険なことは避け、なるべく楽しく学園生活を送りたいだけで」

との、当たり障りのない返事。


高橋麻友は、クスッと笑う。

「華音君は、そんな普通の顔をしているけれど」

「華音君と話をしたいって人は多いの」

「男子でも女子でもね」

「ただ、男子の先輩になると、弟にしたいとか」

「女子は・・・ゲットしたいとか、彼女になりたいとか、いろいろ」


花井芳香

「そうね、それはよく聞かれる、とにかく仲良くしたいもの」

佐藤美紀

「穏やかなタイプで、格闘はメチャ強いし、それから今日みたいな源氏とかね、すごいと思う」

志田真由美

「一緒にいて、安心できるタイプ、口数は多くないけれど、ヘラヘラして軽いよりはいいなあ、真実味があるもの」


華音は、手で女子生徒を制した。

「あの、まだ奈良から出て来たばかりの田舎者です、あまり褒めないで」

「まだまだ、メトロの乗り継ぎにも難儀するので」


高橋麻友はその華音が面白そう。

「あはは、教えたくなった、デートに誘うかな」


華音は、それで少し焦るし、文学研究会も黙っていはいない。

長谷川直美

「新聞部さん、取材なの?デートのお誘いなの?」

花井芳香

「華音君には、独占禁止法が施行されています」

佐藤美紀

「取材と称して、華音君と話をしたかっただけなの?」

志田真由美

「ねえ、華音君が困っているではないですか!」


高橋麻友は、また笑う。

「面白いなあ、華音君」

そして、文句ありげな文学研究会女子などは見ないで、華音を直視する。

「ねえ、華音君、もう一つ質問させて」

華音が「はい」と頷くと、高橋麻友。

「あの紫の上の原稿は華音君が書いたの?」


華音は、素直に頷く。

「はい、少々拙劣ではありますが」


これには文学研究会だけではない、新聞部高橋麻友も首を強く横に振る。


高橋麻友はぐっと華音に迫った。

「すごいなんてもんじゃない、超名文だった、わかりやすいし、資料も完璧」

「で、それでね・・・」

高橋麻友は、そのまま華音の手を握っている。

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