第324話華音の実家は・・・華音はスマホを見て面倒そうな顔
文学研究会での話し合いは一旦終了、吉村学園長は学園長室に戻った。
その後、華音が珈琲を淹れ、雑談になった。
長谷川直美
「こっちから確実に行くのは、文学研究会の面々と、瞳ちゃん?」
華音は頷いて、泊まる場所などを説明する。
「瞳さんのお母様と僕の母が会社の同僚だったようですので、僕の実家に泊まります」
「文学研究会のみんなも僕の実家」
「それから、僕と一緒に住んでいるシルビアと春香、ルーマニアから来たエレーナも僕の実家」
「文化庁の今西圭子さんと警察庁の松田明美さんも同行します」
「この人たちも縁が深いけれど、奈良出身なので、それぞれの実家に泊まる予定」
顧問の田中蘭が、驚く文学研究会の面々に説明する。
「ご実家は、相当に広いお屋敷」
「部屋数も多いので、問題はありません」
華音は、少し照れた。
「昔からの家で、人を呼んで泊まらせることが好きな当主が多かったんです」
「和風だったけれど、最近、ホテル風に改築して・・・部屋数は30くらい」
「上手に部屋割りすれば100人ぐらいは泊まれます」
「大きなお風呂とか・・・えーっと・・・サウナも作ったって親父が言っていました」
その華音に2年生の花井芳香が質問。
「どうして、そんな大きいの?お家として大きすぎるって思うけれど」
華音は、また照れた顔。
「それが親父が学者で、いろんな学会の集まりを実家でやることが多くて、週の半分以上は全室埋まっています」
顧問の田中蘭は、クスっと笑う。
「みんな、心配ない、さっき華音君のお母さんとお話したの」
「そこで部屋の写真も送ってもらった」
「今、見せるよ」とタブレットを文学研究会の面々に見せる。
長谷川直美
「ふう・・・リッチな・・・広い部屋」
花井芳香
「冷蔵庫もある・・・高そうなアメニティ・・・」
3年生の佐藤美紀
「私の部屋より豪華、クローゼットも広い」
1年生の志田真由美
「カーペットがすごいなあ・・・ベルギーかな」
などと、文学研究会の面々は、満足の様子。
そんな話をしていると、文学研究会の部室のドアにノック音。
華音が、ドアを開けると、華音のクラスの萩原担任が入って来た。
萩原担任
「ねえ、私も行きたいんだけど、いいかな」
華音は、少し驚くけれど
「はい、部屋は余っていますので、問題はありません」
「先生が、ご都合がよろしければ」
などと、あっさりと受ける。
田中蘭が萩原担任に笑いかける。
「ご都合など・・・行きたくて仕方がないんでしょ?」
萩原担任も、素直に頷く。
「だってね、学園長に聞いたら面白そうだもの、研究テーマが」
「華音君のお父さまも、超有名な学者で、お話を伺いたいし」
「それは、学問を志すものとして、当たり前だもの」
そんな和やかな話が続く中、華音はスマホを見て、面倒そうな顔。
その華音の様子を察知した長谷川直美が、華音にそっと聞く。
「何かあったの?」
華音は、困ったような顔。
「佐々木あきさんって、奈良の学園の文学研究会で一緒だった人から」
長谷川直美が華音からスマホを奪い取ると、長谷川直美も途端に顔をしかめている。
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