第319話太極拳練習の後、陳氏宅にて中華粥をふるまわれる。
その陳に、井岡スタッフが、また何かを耳打ち。
陳の表情が面白そうに変わる。
「ますます、型を示したくなりました」
すると華音も笑う。
「横浜に通いたいとも思います」
「ただ、少し遠くて」
陳は、首を横に振る。
「いやいや、それは申し訳ありません」
「これほどの大恩あるお方、こちらから伺います」
「そうしないと、こちらの気がすみません」
その後、陳は華音に、太極拳の24の型を少し示し、華音はその真似をすることになった。
陳
「まずは起勢、両腕を上げる時は力を入れません」
「次に、野馬分髪、馬のタテガミを分ける動き、両手の間にボールを抱えるような感じ、そのボールを回すように円形を保ちます」
「白鶴亮翅、鶴が羽を広げた動き、足を前に半歩出します。上体を前屈みにしない」
・・・・・・
華音が真似をしだすと、結局、女性たちも真似をしだす。
今西圭子
「内側から燃焼される体質改善とかって聞いたから」
松田明美
「もう少し、しなやかな体型になれるかも」
シルビア
「全ての関節は力を抜いて緩めるって言っている」
春香
「指先にまで神経を届けながら繰り返す?難しいかも」
エレーナ
「身体がホカホカしてきた、マジに」
瞳
「華音君は、実に器用だ、先生の動きに、そっくりになってきた」
そんな見よう見まねの太極拳練習も1時間ほど、女性たちはお腹がすいたようだ。
シルビアが華音に声をかけた。
「華音!朝ごはん!」
なんとも、直接的な言葉なので、全員に笑いが起きる。
すると陳が、また笑顔。
「それでは、中華粥などいかがでしょうか」
「仲良く練習した仲間として、楽しく食べましょう」
誰からも異論はなかった。
陳の自宅に案内され、自家製の中華粥を食べることになった。
華音は、陳にお礼を言う。
「本当にありがたいことです」
陳は、また笑う。
「いやいや、楽しい、それから大恩もあり、不思議なご縁もあります」
「教えたばかりの太極拳の型も、ほぼ完全にマスターしています」
「さすが、格闘の力は、素晴らしいものがあります」
シルビア
「とにかく格闘系は、好きみたいです、何でも」
春香
「それに比べて、女性扱いは苦手で下手で」
華音はキョトンとなる。
「・・・そうかな・・・うーん・・・」
その華音の肩を、陳が軽くたたく。
「それなら、女性に対する指導も必要ですかな」
華音は、首を傾げ、女性たちは全員、手でバツのポーズを取っている。
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