第308話少し変わったゴマ団子 藤原美里の母も華音に興味を持つ。

周氏が出してきたのは、一見普通のゴマ団子と、杏茶。


女性たちは首を傾げるけれど、華音はニコニコとしている。

華音「まず、食べてみないとね」と一口、そして杏茶を一口含み、またニコニコ。


その華音につられ、エレーナが一口、そして目をパチクリ。

「え・・・これ・・・初めて・・・」

「不思議・・・杏茶を飲むと、また雰囲気が変わる」


雨宮瞳も、すかさず食べて、納得。

「へえ・・・杏の甘酸っぱい餡なんだ」

「これは初めて」


他のお姉さまたちも、我慢出来なく、口に入れ始める。

シルビア

「そうか・・・ゴマ団子は少し重たいけれど、こうすると鮮烈になる」

春香

「そして杏茶で、全ての風味を更に活かす」

今西圭子

「普通の杏餡ではないなあ、何か細工してあるのかな」

松田明美

「うん、幸せな味だなあ、はつらつとした中国の美少女って感じ」


周氏は、そんな女性たちの表情に満足。

「ゴマ団子の皮、杏も、砂糖も、最高級品」

「餡の隠し味にブランデー」


華音は、まだニコニコしている。

「要点は、その調合割合ですよね、すごく神経を使って、皮も餡も作る」

「単にどこでも売っているゴマ団子と比べるなら、大間違い」

「こういうお菓子が、本物のお菓子と思うんです」


周氏は、華音に立ちあがり握手を求める。

「お祖父様と同じことを言いますね、お祖父様には本当にお世話になって」

「華音君とも、これから、末永く」

「味がわかる人は、大好き」

「料理の苦労を知る人も大好き」


華音は、うれしそうに握手に応えている。



さて、華音たちと別れて、横浜山手の大邸宅に帰った藤原美里は、まず、その母佳子に驚かれた。

「美里さん・・・眼鏡は?」


美里は、まだ不思議な顔。

「高校親善大使のもう一人の、三田華音君が治してくれた」

「背中の骨もずれているって、何かしてくれて、呼吸が本当に楽」


母佳子は、また驚く。

「本当に良く見えるの?」

「そういえば、姿勢もまっすぐだけど」


美里は笑う。

「そうなの、帰るときに眼鏡屋さんに寄って、視力検査をしてもらったら」

「両目とも、2.0で、全く乱視がありませんって、言われた」

「本当に、世の中が輝いて見える」


母佳子は尋ねた。

「いったい、どういう男の子なの?」

「官房長官と総理まで、推薦したようだけど」


美里は、夢見るような顔になり、すぐに残念そうな顔になる。

「とにかく、美少年、純朴で真面目、可愛らしい」

「もっとお話ししたかったんだけど」

「とても美しいお姉さま方に、がっちり守られている感じ」


母佳子は腕を組む。

「早いうちに、一度お礼をしないとねえ・・・」

「というか、私も、その可愛い子を見たくなった」

「楽しみが増えたかな」


どうやら、母佳子も、華音に興味を持ったようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る