第306話藤原美里の落胆、華音の無関心。

近眼の解消に加えて姿勢の矯正まで施された藤原美里が、華音をウットリと見つめる中、華音はお姉さまたちと、雨宮瞳をそれぞれ紹介する。

「全て、御縁が深い人で、頼りにしている人です」


藤原美里としては、目の前の女性が全員が驚くほど美しい。

華音と個人的に、もう少し話をしたいと思ったけれど、なかなか独占は難しいと判断していると、華音はあっさりと頭を下げ、


「それでは、藤原さん、今日は楽しいひと時をありがとうございました」

「この後、少々、予定がありますので、本日はここでお別れいたします」

「官房長官様も、本日のセッティングを、ありがとうございます」


と、店を出ていってしまった。

その様子に、藤原美里は、放心状態。

「どうして・・・そう・・・あっさり?」

「メルアドを聞くのも忘れた」

「きれいな女性たちばかりだったけれど・・・うーん・・・」


そんな藤原美里に官房長官は苦笑。

「華音君を好きになるのは簡単、でも、彼氏にするのは超難関」

「せめて、メルアドぐらいは、自分から聞きだして欲しいですね」


藤原美里は、落胆。

「大恩人なのに・・・はぁ・・・おっとりし過ぎたかも」

「次はいつ逢えるのかなあ・・・」


官房長官は、また苦笑。

「文部科学大臣とか、外務大臣からの連絡待ちです」

「いつになるのかは未定、今日は顔合わせだけですから」


その官房長官の言葉に、藤原美里はまたしても落胆することになった。



さて、華音たちの一行は、レストランを出て、華やかな横浜元町を歩いている。

今西圭子が華音に声をかけた。

「なあ、華音ちゃん、どうやった?」


華音は、少し考えて答えた。

「うーん・・・美味しい牛肉でした、味付けもいいけれど、肉そのものが美味しい」

松田明美は呆れた。

「あのな、華音ちゃん、そうやない、藤原美里さんや、どんな印象を持ったってことや」


その松田明美の言葉に、雨宮瞳とエレーナは、緊張する。

シルビアと春香は、「答えはわかっている」ので、どうでもいい感じ。


華音は素直な答え。

「えーっと、治せる近眼でしたので、治して・・・ついでに背骨の矯正を」


今西圭子も呆れた。

「そうやないって・・・女性として、魅力があるかないかって、話や」

「近眼治して、背骨治したら、メチャ愛らしい美人やったやろ?」

松田明美も続く。

「ほら、瞳ちゃんもエレーナちゃんも、メチャ気にしとるやん、さっさと!」


華音は首を傾げた。

「そう言われてもねえ・・・心がきれいな人と思っただけ」

「一緒に何かをして見ないと、わかりません」


雨宮瞳は思った。

「つまり、華音君は彼女に恋心どころか関心が、何もない」

「でも、彼女は、華音君に治療されて、相当な興味を持っている状態」


エレーナは、藤原美里の残念そうな顔を思い出した。

「私たちと一緒ってこともあるけれど、彼女は、あっさりと華音君が帰るのを寂しそうに見ていた」

「女は、そういう思いをすると、逆に何とかして追いかけたくなることが多い」


ただ、華音はそんな女性たちの想いには興味が無い。

そのまま先導して、中華街に向かって歩いていく。

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