第295話華音の技は裏柳生由来、バニラの遊び

吉村学園長は、華音に声をかける。

「お疲れ様」

華音は、少し頭を下げる。


柳生清が歩いて来て、華音に耳打ち。

「裏柳生、視殺の技かな」

華音は、頷く。

「はい、一歩前に出て、相手の呼吸のすき間に、強い視線を浴びせる」

柳生清

「一種の合気だな、武器を持たずに相手を倒す・・・と言うか、相手が動けなくなる、脚から震えて来る」

華音

「瞬間催眠術とも、霧冬先生は言っていました」


柳生清は、地面に顔を突っ込んだまま、まだ立ち上がれない原島に目をやった。

「本人が焦れば焦るほど、脚は動かない」

「動けるはずだと思うけれど、それが動けない、ますます焦る」

「特に自意識過剰タイプには、効果が高い技」


華音は、少し考える。

「助け起こした方が良いでしょうか」


吉村学園長は、即答。

「その必要なし、恥をかくのも勉強」

「いままでチヤホヤされ過ぎて、天狗だったもの」


野球部取り巻き連中により、原島はようやく抱き起された。

そして、まだ脚が震えるので、グラウンドを歩きながら、何度も転びそうになる。

そして、その表情は、恐れと憔悴の極み。


「マジで華音が、鬼に見えた」

「それも巨大化して」

「怖いなんてもんじゃない」

「空手も強いって聞いたから、蹴られれば死ぬかと」


原島と野球部員たちが、目の前から去ったので、華音は全員に頭を下げた。

「すみません、不愉快な思いをさせてしまいました」


しかし、華音の謝罪は、すぐに否定される。

空手部主将の剛

「お前は悪くない、勇気もある」

剣道部主将の塚本

「ほんと、頼れる後輩、自慢できる」

その他の生徒たちからは、華音に大きな拍手まで起こっている。


テニス部の沢田文美が、全員に声をかける。

「ねえ、気分直しにパーティーしない?」

「私、疲れたから甘い物を食べたくなった!」


すると吉村学園長も全員に声をかける。

「そうね、学園のレストランでどう?」

「学園で出します、今回は」


華音は少し意味不明。

吉村学園長に質問。、

「今からケーキを焼くんですか?」

「パテシィエ、間に合います?」


すると吉村学園長は、笑う。

「華音君、すぐに出来るのもあるでしょ」

「ほら、あれ!」


まだ首を傾げる華音に、雨宮瞳が耳打ち。

「例のバニラの遊び」

ようやく意味がわかった華音は、大笑い。


その後は、学園レストランで、大バニラアイスを取り分け、トッピングも実に多種多様で、大盛り上がり。


華音は、途中から珈琲やフレーバーティーを淹れ始め、それも大好評で、華音の別の魅力が、学園内に広まることになった。


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