第251話柳生事務所ビルを見学(2)

小久保スタッフは、その大書庫の扉を開け、華音に、少しだけ状態を見せる。

「すごいでしょ?華音君」

華音は、うなった。

「これは・・・すごいを通り越しています」

小久保スタッフも頷く。

「これを読み切るのは無理、せめて分類して、必要な時に取り出して確認する程度だよ。まあ、過去の資料には苦労しないかな」


華音も、少しだけ歩いて、書籍を見るのはあきらめた。

何しろ、その量が多すぎるため。


小久保スタッフが華音に声をかけた。

「次は、下に行くよ、12階で降りる」

華音は疑問だった。

「どうして16階の次が12階?」

小久保スタッフは、少し笑うだけ。

エレベーターを操作し、12階のフロアに到着。


すると、大きな扉に、20階のフロアと同じ木製の一枚板に、墨書にて、「柳生ホール」の大看板。


華音は首を傾げる。

「ここのビルにホール?」

小久保スタッフは、クスクスと笑い、「柳生ホール」の扉を開ける。

すると、確かに小ぶりであるけれど、ビルの四階程度を使ったようなホールがある。

客席は500名程度、ステージには大きなスクリーンがかけられている。


小久保スタッフ

「主に、会議場としてね」

「国際捜査機関も来る、当然日本政府も来る」

「それほど頻繁ではないけれど、年に10回は使うかなあ」

「テーマは、様々なリスク管理に関するものが多い」


華音は、ここでも「へえ・・・」と言う程度、世の中にはいろんな不思議な場所があるものだとしか、思えない。


小久保スタッフは、またエレベーターに華音を誘導。

「11階から、8階までは、宿泊施設」

「会議に来ている人は、時々隠密のこともある」

「普通のホテルでは警護が不安の場合、ここに泊まる」

「客室数は、200」

「収容人員は、500くらいかな」


華音は、また質問。

「ホテルマンなどは?」


小久保スタッフは、即答。

「うん、我が柳生一族の手練れを採用、その指導は吉祥寺のホテルで華音君と再会した根津さん」

「レストランは7階、和・洋・中華何でもできる料理人、それも柳生一族から」


華音と小久保スタッフは、ます11階の宿泊設備、その一室を見る。

華音

「すごいですね、高級ホテルみたい、ベッドもアメニティも・・・」


小久保スタッフは、また華音を誘う。

「和室もあるよ、畳敷きのね」

確かに立派な12畳以上の和室が並んでいる箇所もある。


華音

「まるで和風旅館みたい、ここ」

「何か、落ちつきます」


すると小久保スタッフは、にっこり。

「ねえ、華音君、お屋敷のお姉さんたちが面倒なら、時々ここに泊まったら?」


華音が「え?」と聞き返すと、小久保スタッフ。

「うん、お相手しますよ、華音君なら」


華音は、また顔を赤くしている。

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