第252話柳生事務所ビルを見学(3)
柳生事務所ビル見学は、6階に移った。
小久保スタッフ。
「これは見ればわかるよね、トレーニングルーム」
その説明通りに、ありとあらゆるトレーニング機器が並んでいる。
最新式の機器が多く、壁にはロッククライミングの設備。
華音は面白そうな顔。
「全部、試してみたい。ロッククライミングも懐かしい」
小久保スタッフは、少し笑う。
「そうよね、華音君、霧冬先生の指導で、いろいろだったよね」
「でもロッククライミングは機器ではなくて、本物だよね」
華音は素直に頷く。
「はい、木登り、山登り、岩面登り、崖登り、なんでも」
「最後は、ほとんど命綱もつけずに」
華音は、もう少し機器を見たかったけれど、小久保スタッフと5階フロアと向かう。
5階フロアの看板は「柳生医療所」との墨書。
ここでも変わらず、大きな一枚板の看板。
小久保スタッフが説明。
「内科、皮膚科、外科・・・なんでも対応する第一級の医師と看護師、設備があるよ、東洋医術の先生もいる」
華音は質問。
「一般の客の診療は?」
小久保スタッフは首を横に振る。
「うーん・・・それはないよ、あくまでも極秘を要する特定の患者と、私たちかなあ、生傷もあるからね」
「もちろん、華音君に何かあれば、ここで対応します」
そこまで言って、小久保スタッフはまた笑う。
「でも、華音君に傷を付けられる相手も少ないしねえ・・・」
「本気の霧冬先生か・・・今は華音君のほうが霧冬先生を倒しちゃうしね」
「それに華音君には、お薬師様のお宿りがあるから」
華音もそれには笑顔。
「はい、不思議に身体は丈夫なんです」
「風邪もひかず、傷もすぐに治る」
「便利といえば便利な身体と思っています」
4階は、その医療施設に伴う入院施設。
小久保スタッフが説明。
「5階で診療を受けた患者様が入院する、当たり前だけれど」
「その中で、様々な治癒の促進のために、技術を尽くす」
「世界各地の最新技術を使った治癒促進もあるし、日本古来の薬草を使った技術もある」
華音は、そこで懐かしそうな顔。
「そういえば、霧冬先生と山歩きをしていて、そんな薬草を摘んだことを思い出しました」
「先生は、格闘も強いけれど、まるで薬草博士でした」
その華音をクスッと笑い、小久保スタッフは3階に誘導。
墨書一枚板の看板には、「柳生薬草研究所」とある。
華音は、ここに入っても、興味津々、目が輝く。
小久保スタッフ
「ありとあらゆる薬草を揃えてあるよ」
「薬草研究所でもあるし、薬局でもある」
「細かい説明は省くけれど、ここにも薬草知識と薬学の第一級の先生方が揃っています」
次に小久保スタッフが華音を誘導したのは、2階ではなく、1階。
そして華音の目に入って来たのは、再び一枚板の看板、そして「柳生教会」の墨書。
「ここに教会?」
華音は、首を傾げている。
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