第230話ユーカリ風呂でのローマ風呂談義、エレーナの同居決定
今日の大風呂はユーカリのさわやかな香りが漂っている。
華音も本心では、ゆったりとユーカリの香りに包まれたいところであるけれど、身体に感じるのは「お姉さまたち」の素肌のみで、心に感じるのは恥ずかしさのみ。
そのお姉さまたちは、とにかく上機嫌に話がはずんでいる。
エレーナ
「これが日本の大風呂なんだ、お祖父様が自慢していたもの」
シルビア
「ローマにもお風呂文化があったよね」
エレーナ
「そうですね、遺跡が残っているかなあ」
春香
「何で、それが廃れたのかな、ローマ帝国の滅亡から?」
今西圭子
「もしかして、キリスト教、特にカトリックの布教に問題があるの?」
松田明美
「あ、それ、聞いたことある、人前で肌をさらしてはならないとか」
エレーナは今西圭子と松田明美に、頷き説明をする。
「はい、特にカトリックはローマ時代の絢爛豪華を否定」
「絢爛豪華は主なる神だけに許されるべきであって、人間は清貧を貫かなければならない」
「そもそも、ローマ風呂は清貧どころか、人前で肌をさらすし、男女で酒を飲む」
「また公衆浴場の周囲には、娼婦や娼夫も多かったたようで、ほぼ風俗」
「古代ローマというのは性的なタブーが少ないから、これもキリスト教の清貧の教えに反するとして、結局、公衆風呂は、いかがわしく退廃的な施設」
「キリスト教が浸透すると公衆浴場という施設そのものが否定され廃れてしまった」
華音が口を開いた。
「古代ローマが公衆風呂建設を進めたのは、権力者の市民への好感度上昇を意図したものもあるけれど、本当の目的は市民の健康維持」
「清潔に身体を洗うことによって、疫病の発生を最低限に保つ」
「疫病の発生は、多くの市民の健康を損ね、結果として国力の低下につながる」
「下水道や上水道の整備も、目的は市民の健康維持から」
急に学問的なことを言いだした華音に、エレーナは満足そうな顔。
今西圭子と松田明美もうれしそうに、ますます華音に身体を寄せる。
華音が再びエレーナに声をかけた。
「ところで、エレーナさんの胸の呪印は、もしかしてデーメーテール?」
「どう見ても、そうとしか見えないんだけど」
エレーナは、華音の質問に、再び満足そうな顔。
「はい、正解です」
「神の王ゼウスの姉にして、豊穣の神」
シルビアが、目を見開いてエレーナの呪印を見る。
「うん、確かに胸も豊穣、呪印も豪華だ」
「立派に実っているって胸だ」
春香はうらやましそうな顔。
「うーーん・・・形もいいなあ、しっかり張っていて、盛り上がっていて」
「私も形は、前よりはよくなったけれど、大きさが・・・」
松田明美は、納得したらしい。
「そうか、それでお料理も美味しい」
「食欲をそそる味付けと調理法だった」
今西圭子は華音の顔を見た。
「ねえ、これなら、エレーナさんに、ここのお屋敷に入ってもらったらどう?」
「美味しい料理も教えてもらえそう」
「お祖父さんも、懇意だったようで、御縁もあるし」
この提案については、他のお姉さんたちも、全く異論はないらしい。
全員で華音の、答えを待つ。
こうなっては華音は仕方がなかった。
「わかりました、細かい話はお風呂から出た後で」
との承諾の意。
その言葉が終わると同時に、華音の顔は再び喜んだエレーナの豊胸に包まれている。
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