第222話赤い死の血の湖(1)

「そうなると・・・」

華音は立花管理人に目くばせをする。

立花管理人も、華音の意図を察したようで、軽く頷き手に持ったスマホを操作。

そして華音に

「はい、今、駅についたところ、お二人とも、こちらに向かっているそうです」


シルビアと春香が、そのやり取りに反応。

シルビア

「お二人というと、例の今西圭子と松田明美か」

春香

「なかなか面倒やけど、しかたない、うちらはまだ高校生や」


華音はエレーナに声をかける。

「日本政府から二人、もうすぐ、この屋敷に来ます」

「詳しい話は、それからで」


少々緊張気味だったエレーナの顔が少しだけ緩む。

そしてテーブルの上に置かれた書籍を一つ一つ再確認、ため息をつく。

その書籍の中に、「赤い死の『血の湖』と、日本語で付箋が付けられたものがある。


華音は、目を光らせて、その書籍に注目。

エレーナに再び声をかける。

「もしかして、この赤い死の血の湖の本にも関係するのですか?」


するとエレーナは再び、顔を蒼くする。

「はい、かなりな危険のある湖」


シルビアも不安気に反応。

「具体的には何?」

春香の表情も厳しい。

「そこまで言うからには、その他の本がドラキュラ公と黒魔術・・・それらとも関係するのかな」


雨宮瞳は、よく状況が飲みこめなく、ただ震えるのみ、華音にピッタリ張り付いている。


洋館の応接室のドアが開けられ、今西圭子と松田明美が入って来た。

そして、エレーナに名刺を渡しながら、簡単な自己紹介。

今西圭子

「文化庁の今西圭子です、華音とは幼なじみで」

松田明美

「警察庁の松田明美、私も華音とは幼なじみで」


エレーナはホッとしたような顔で、挨拶を返す。

「私はルーマニア大使館のエレーナと申します、華音君のお祖父様には子供の頃から、お世話をしてもらい遊んでもらいました」


一応の簡単な挨拶が終わり、華音が再び話を整理し、進める。

「ドラキュラ、黒魔術、そして赤い死の血の湖」

「エレーナさんが確認をしたい部分があるとの意向」

「それと、赤い死の血の湖が、それらの書籍とリンクして危険なことが起こるとか」


松田明美が、華音の話を受けて、エレーナに確認。

「エレーナさん、その赤い死の湖というのは、ルーマニアのジャマナという地区のことですよね」

「かつては美しい山村であったけれど、かの独裁者チャウシェスク大統領の政策により、とんでもない自然破壊を被った・・・」


エレーナは深く頷き、一旦その目を閉じた。

そして震える声で

「その赤い死の血の湖につきましても、かいつまんで説明をいたします」

とつぶやくと、立花管理人がそれに反応。

「ただいま、モニタースクリーンを準備いたします」

「実際に現場などの画像などがあれば、理解も進むと思いますので」


立花管理人が手にしたリモコンを操作すると、壁一面に真っ白なモニタースクリーンがスルスルとおりて来た。


エレーナの顔は、ますますの緊張に包まれている。

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